1996年12月12日東京文化会館での演奏会のためのリハーサルと本番。インタビューも興味深いが、大井町のJR工場内、大食堂2階にあった専用の練習場が懐かしい。
朝比奈隆先生 / 新日本フィル / ブルックナー5番
仕事の記録としては、古めの映像。1992年9月2日、サントリーホールにて収録。
朝比奈先生との演奏は本当に良い練習と素晴らしい演奏の記憶しかない。当時若いオケだった新日フィルから、重厚な、世界に通用するような音と音楽を引き出してくださった。練習は厳しいというものではなく、楽譜や基本に忠実なことを奏者に求められて、強固な信頼関係の下に演奏できる、私にとって幸せな演奏体験であった。
Percy Faith ③
前の記事に投稿したアルバム「THE GREAT CONCERT」をググっていて偶然に世界初CD化されたのを発見したのだが、10枚組のCD BOXに特典として付けられている2枚組のCDとなっていて、他の10枚分の曲は大半を所有しているので、2枚のCD入手のために大枚を叩く以外に方法は無いか、、、うーむ。
気を取り直して。
このアルバムのどこが良いのかというと、それはもう演奏が良いと言う一言に尽きる。また録音もライブ感を重視したバランスで、作為的に色付けされておらず、本当にバランスが良い。そしてオーケストラのライブ録音としては、驚異的に演奏のクオリティが高い。
ワタシ的には、アルバム全部気に入っているのだけど、Disc 1の7曲目、マイ・ハート・クライズ・フォー・ユーと、Disc 2の2曲目ボサノヴァ・メドレーあたりがわりとお気に入りと言えるかも。
マイ・ハート〜はなんと言ってもヴァイオリンの美しいソロが聴けるのと、サビの部分のバディ・チルダース氏ののびやかなロングトーンが素晴らしいし泣かせる。一音の吹き伸ばしで圧倒的な歌心を聴かせてくれる。それを支える金管セクションのハーモニーも絶妙。フェイスの和音の積み方のセンスにも脱帽。これを聴いた14〜15歳の古賀少年は、一音で歌うとは?と真剣に考えた。自分のトロンボーンでは歌ったように吹けないからだ。それから金管奏法的なことを言うと、私のビブラートのかけ方のお手本は、実はこのチルダース氏の、ココのプレイなわけだ。繰り返し聞いて研究らしきことをやった。今でもイメージの基本はこれだ。もう一つのビブラートのテクニック、スライドビブラートのお手本はDick Nash氏だが、それはまた別の記事にするとして。
ボサノヴァ・メドレーは、選曲も良くて実に奥が深く、多彩でソロがまた素晴らしい。私の音楽の趣味は、ここを起点にしてアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、アストラッド・ジルベルト、スタン・ゲッツと繋がって、その後はジャズの世界へ展開していくのであった。それにしてもアレンジの素晴らしさと言うか、原曲のイメージを崩すことなく、フェイスの音楽に昇華したうえに魅力を増しているところが、なんともすごいなと思えるところ。それと、こう言うポピュラー音楽のオーケストラで演奏することを職業にできたらなと、おぼろげながらにイメージし出したきっかけのリスニング体験でもありました。
Percy Faith ②
「THE GREAT CONCERT / PERCY FAITH AND HIS ORCHESTRA」CBS/Sony 40AP 308~9
このアルバムのYouTubeへのリンクを集めて埋め込みました。現在のところ全曲を見つけることはできませんでしたが、概要はわかると思います。
Disc 1
- 1. ミュージカル・メドレー
- 2. ファースト・ライト
- 3. これからの人生
- 4. デイ・バイ・デイ
- 5. サテンの夜
- 6. コラソン
- 7. マイ・ハート・クライズ・フォー・ユー※当初別のアルバムとして発売された同日演奏のテイク
- 8. バッハズ・ランチ
- 9. 神の丘
Disc 2
- 1. タラのテーマ
- 2. ボサノヴァ・メドレー
- 3. 追憶
- 4. 燃えよドラゴン
- 5. やさしく歌って
- 6. クランチィ・グラノーラ組曲
- 7. ラテン・メドレー
- 8. 風のささやき
- 9. ツァラトゥストラはかく語りき
- 10. 夏の日の恋
- 11. サヨナラ
1974年5月19日新宿厚生年金ホールにてライブ収録
以下続く
Percy Faith ①
Easy Listening / Mood Musicカテゴリの1本目はパーシー・フェイス。まずご存知ない方はwikiの紹介文を引用。
パーシー・フェイス(Percy Faith, 1908年4月7日 – 1976年2月9日)はカナダ・トロント生まれでアメリカ合衆国出身の作曲家、編曲家、指揮者、音楽プロデューサーで、イージーリスニングやムード音楽分野において著名な人物である。
なぜパーシー・フェイスにこんなに魅了されて来たのかというと、1974年のPercy Faith and His Orchestra来日公演のライブ盤が、NHK-FMの「サウンド・オブ・ポップス」で放送されて、それをエアチェック※して聴いてすごく気に入ってしまいハマってしまったということ。私の生涯で一番大切で最も聴き込んだアルバムなのだ。
※エアチェックとは主にFMラジオの音楽番組を録音すること。今は死語の世界(笑)
ハマったライブ盤は、どんな権利関係の問題があるのかわからないけど、日本のみの発売で、この記事執筆時点までCD化はされていない。 (こちらで特典CDとして発売されていました。単独での発売は無いようです。値段が、、、泣)
フェイスのどこに惹かれたのかというと初めて聴いたのがおそらく1975年ごろ、ライブ盤が発売されてすぐの頃、中学生の私は吹奏楽部でトロンボーンを始めたばかりの頃。ポピュラーのオーケストラの豪華なサウンドも良かったが、トランペット、トロンボーンセクションのアンサンブルに耳が釘付けになった。
クラシックのオーケストラや吹奏楽ももちろん好きではあったけど、やはり、ホーンセクションが活躍するビッグバンドの要素もあり、ストリングスの要素もあり、またサックスセクション4人の見事な持ち替えに耳が釘付けになった。
ムード音楽/イージーリスニングというジャンルの音楽は、今ではほとんど新しいリリースが無いけど、1960年〜1980年代あたりまでは、本当に多くのアーチストが百花繚乱という感じで、同じ曲を違ったアレンジで楽しめたものだ。今では曲をカヴァーすると言う言い方をするが、基本的に歌詞の無いインストゥルメンタルなので、オーケストラの編成や各リーダーの個性や編曲の妙が際立っていて楽しかった。
その中でのフェイスのアレンジは、シンプルかつ王道とも言えるもの。弦楽器をのびのびと歌わせる感じと、ブラスセクションも、ビッグバンドほど吹きっぱなしと言うこともなく、ここぞというときに効果的に使われていて、各プレーヤーの力量や個性を存分に引き出した感じのところが好きである。
特にラテンアメリカ音楽の演奏は、今や現代のアレンジャーは、ほとんどみんなフェイスのアレンジをベースに書いているのではないかと思えるほど。ブラジル、ティコティコと言った有名曲に名演がある。
この項の続きはたくさん書けそうなので、今回はこの辺で。(2021.4.29一部修正しました。)
悠々磊々(ゆうゆうらいらい)について
「磊」という漢字は、最近気になっている漢字です。よくお世話になっている仙台秋保温泉の緑水亭と言うホテル近くの名取川に「磊々峡」と言う素晴らしい景観の渓谷があります。また、長野県の佐久市にある大好きな蕎麦店が「磊庵はぎわら」さんだったりと、勝手に縁がある漢字と思ってました。
「悠々磊々」と言うブログタイトルは、気になる漢字の「磊」というものを使って何かタイトルに出来ないかと私が考えたものです。辞書を引いても載っていません。
「磊」(らい)とは、見た通り石が積み重なったことを表す漢字で、「磊々落々」とか「豪放磊落」のように使われます。小さなことを気にしない大らかなことと言う意味があるようです。それに加えて「悠々閑々」(ゆっくりとしたさま)と「磊々落々」(心が広く細かいことに拘らない)を掛け合わせたイメージで、のんびりやっていければと思います。
以前のブログから使っていた佐賀弁を模した造語のnombirato(のんびらーと、のんびりとの意)と合わせて、悠々磊々と言うタイトルに落ち着きました。最初に謎解きをしてしまうと楽しみがなくなってしまいますかね。