Percy Faith ③

前の記事に投稿したアルバム「THE GREAT CONCERT」をググっていて偶然に世界初CD化されたのを発見したのだが、10枚組のCD BOXに特典として付けられている2枚組のCDとなっていて、他の10枚分の曲は大半を所有しているので、2枚のCD入手のために大枚を叩く以外に方法は無いか、、、うーむ。

気を取り直して。

このアルバムのどこが良いのかというと、それはもう演奏が良いと言う一言に尽きる。また録音もライブ感を重視したバランスで、作為的に色付けされておらず、本当にバランスが良い。そしてオーケストラのライブ録音としては、驚異的に演奏のクオリティが高い。

ワタシ的には、アルバム全部気に入っているのだけど、Disc 1の7曲目、マイ・ハート・クライズ・フォー・ユーと、Disc 2の2曲目ボサノヴァ・メドレーあたりがわりとお気に入りと言えるかも。

マイ・ハート〜はなんと言ってもヴァイオリンの美しいソロが聴けるのと、サビの部分のバディ・チルダース氏ののびやかなロングトーンが素晴らしいし泣かせる。一音の吹き伸ばしで圧倒的な歌心を聴かせてくれる。それを支える金管セクションのハーモニーも絶妙。フェイスの和音の積み方のセンスにも脱帽。これを聴いた14〜15歳の古賀少年は、一音で歌うとは?と真剣に考えた。自分のトロンボーンでは歌ったように吹けないからだ。それから金管奏法的なことを言うと、私のビブラートのかけ方のお手本は、実はこのチルダース氏の、ココのプレイなわけだ。繰り返し聞いて研究らしきことをやった。今でもイメージの基本はこれだ。もう一つのビブラートのテクニック、スライドビブラートのお手本はDick Nash氏だが、それはまた別の記事にするとして。

ボサノヴァ・メドレーは、選曲も良くて実に奥が深く、多彩でソロがまた素晴らしい。私の音楽の趣味は、ここを起点にしてアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、アストラッド・ジルベルト、スタン・ゲッツと繋がって、その後はジャズの世界へ展開していくのであった。それにしてもアレンジの素晴らしさと言うか、原曲のイメージを崩すことなく、フェイスの音楽に昇華したうえに魅力を増しているところが、なんともすごいなと思えるところ。それと、こう言うポピュラー音楽のオーケストラで演奏することを職業にできたらなと、おぼろげながらにイメージし出したきっかけのリスニング体験でもありました。