気がつけば2月も半分に差し掛かってようやく本年最初の投稿です。色々な仕事上のイベントも過ぎて、あとは入試をきちんと行ってと言うところです。
昨日は、初めて利用させていただく渋谷区総合文化センター大和田さくらホールで、藝大トロンボーン科アンサンブル定期演奏会の第34回でした。ご来場頂いたお客さま、お世話になった皆さま、本当にありがとうございました。お陰様で素晴らしい演奏会になりました。


34回を重ねたこの演奏会については、毎回色々思うところがあって、今回も思いついたままを書き記しておこうかと思う。はじめに私がプログラムの挨拶文として書いた文章を貼っておきます。
本日は『第34回東京藝術大学トロンボーン科アンサンブル定期演奏会』にご来場賜り、誠にありがとうございます。
トロンボーンが持つ最大の魅力は、その豊かなサウンドと重厚なハーモニーにあります。この一年の藝大トロンボーン科における研鑽の成果を、皆様に心を込めてお届けいたします。
さて、本演奏会では、これまでに数々の素晴らしい編曲作品を提供してくださった、本学トロンボーン科OBで、作曲家としてご活躍中の井元透馬氏に、私たちのために新作を委嘱いたしました。トロンボーンという楽器、そして私たちトロンボーン科の特質を深く理解されている井元氏による新作の世界初演を、心ゆくまでご堪能いただければ幸いです。
この定期演奏会は、諸先輩方から未来の奏者たちへと受け継がれていく、「藝大トロンボーンサウンド」の揺るぎないアイデンティティそのものでもあります。
どうぞ、最後までごゆっくりお楽しみください。
教師になってトロンボーン定期に立ち会うのは、これで何回目になるのかわからないが、自分はこの演奏会を誰よりもたくさん学生の傍で見て来た人間になった。
大学を卒業してからプロとして仕事をする上で、常に何も迷いなく続けていければ良いのだけど、人生山あり谷あり。いろんな困難に直面した時に、心の拠り所になるものが、挨拶文に書いたアイデンティティの役割の一つだと思っている。
近年学生たちのレベルは本学に限らず、技術的には飛躍的に上がって来ている。卒業生が久々に本演奏会を聴いた時に、レベルの高さに驚くこともあるだろうし、自分もかつて驚いたその一人である。自分が今の学生の中に入ったら、全くついていけないと感じるが、それは卒業生としてはごく当然の感じ方なんだろうと思う。
技術的、サウンド的に大きく進歩が感じられるところではあるけど、音楽的な力、言い換えると音楽性や表現力に関しては、まだまだやらなければいけないことがたくさんある。
これに関しては、教師としては、何か生徒に課して厳しく指導をすると言うことではどうにもならなくて、生徒自身に様々な体験を通じて、またいろんな課題をこなしていく過程で、適切なヒントを与えて、彼ら自身でいろいろ気付いて考える力を伸ばして欲しいと思っている。
今回新しく20分にも及ぶ大作を作曲していただいた井元透馬さんは、藝大トロンボーン科を卒業後、藝大とフランスで作曲の勉強をされた方。新作「妟(EN)〜常夜の終わりに〜」は、同族楽器14声部を、少しも響きが混濁することなく、見事な色彩感で天岩戸伝説をスコアにしていただいた。音楽は純日本的な響きと言うよりは、西洋音楽と適度に融合した日本と言う印象だった。
井元さんは舞台でチラシやパンフレットのイラストデザインが先にあがったので、音楽のインスピレーションを受けたと言うような話をされていたが、このデザイナーは別科トロンボーン修了で、現在管打科教員室で助手を務めてくださっている西ノ園美弥さんです。彼女のグラフィックデザインもとても印象に残る素晴らしいものですね。
この定期演奏会は、一般的なお客さまにも、もちろん楽しんでいただきたいと思っているが、実は藝大を受験しようと思っている次世代の高校生の皆さんにも、大学でどんなことをやっているのか、聴いてもらう良い機会になっている面がある。
またフリーランスで活躍している卒業生や、プロオケに在籍しているプレーヤーにとって、次世代のプレーヤー探しの場になっている面が少なからずあって、この演奏会で力が認められて巣立っていく生徒も多い。
今回も卒業生や、先輩方から様々に声をいただき、学生たちもさらに奮起するところではあるけど、私も教師として益々しっかりしないといけないなと、気持ちを新たにした演奏会だった。高校生から大学生、そしてプロフェッショナル、そして、、、この演奏会は、トロンボーン科としてその中間ど真ん中にあるとても大事なイベント。また来年2月17日は、新装なった川口リリア音楽ホール(山伸サステインホール)の響きも楽しみ。
