教師の答え合わせ

昨日、藝大の学生と卒業生で組まれた「横綱トロンボーンカルテット」の演奏会に行ってきた。何年か前に室内楽の授業履修のために組んだと言うアンサンブルだ。日本トロンボーン協会のコンペティションで第一位をいただいて、その副賞として授与された、DACさんのスペースDoの無料使用権を使っての演奏会。 演奏は、とても良く練られた、奏者にとって最重量級のプログラムで、最後まで飽きる事なく、奏者達の若い熱意が伝わる素晴らしいものだった。自分の教え子の演奏会を持ち上げて、手前味噌な文章になってしまう恐れもあるが、昨晩感じたこと、考えたことを記しておきたい。 このグループは曲ごとに吹くパートを交代するスタイルである… 続きを読む教師の答え合わせ

新年度始まる

今年の入学式は桜が満開だった。ここ何年かは、入学式より早く葉桜になってしまい、地球温暖化のせいなんだろうなと想像して、なんだか晴れやかな気分も塞ぎがちになっていた。だから今年の入学式は本当に良かった。新入生の皆さん、おめでとうございます。 世間的には良く誤解を受けているようだけど、「藝大の先生のレッスンを受けないと藝大には入れない」と言うことは全く無いのです。今年もトロンボーン科には、今まで全く面識のなかった新入生が入学されました。そんな訳で今日ようやくトロンボーン科のレッスンが一巡し、初めましてのレッスンも終わった。 初めましてのレッスン一回目は、ほぼインタビューに終始する。そしてエチュード… 続きを読む新年度始まる

俯瞰の視点

大学入試も終わり合格者も決まり、年度の変わり目も近づいて、うちの大学としては目下受け入れ準備を着々と進めているところ。昨日は卒業式だった。トロンボーン科からは3人の卒業生を送り出すことが出来た。新年度の藝大トロンボーン科は学部にテナートロンボーン専攻4名と別科テナートロンボーン専攻1名の5名をお迎えすることになった。1学年として5名は、私が赴任して最大人数です。賑やかになりそうです。 一方で今年合格出来なかった生徒さんもいて、望みが叶わなかったのは本当に残念で辛いものと思う。私には浪人の経験がないので、真に共感できるわけではないかもしれないが、特に今年は私も色々考える機会となった。 閑話休題。… 続きを読む俯瞰の視点

藝大トロンボーン科アンサンブル定期メモ

昭和の頃の、先輩方の代からずっと続くアンサンブル定期。今回で無事33回目を数えました。今回の演奏会で気がついたことなどのメモを記したい。 ムソルグスキーの禿山の一夜をメインとして、小編成、中編成をバランスよく配したプログラムになった。 特にトリオとカルテットは、トップを吹く学生やグループごとのこだわりや個性が演奏に出ていて興味を惹いた。 アンコールを第3部として会場では案内しているが、進行の時間管理はもう少しシビアに。 今年度はバストロンボーン専攻の学部学生がいないのを、テナーの専攻生がバスを勉強できるチャンスと考えていたが、思った以上にみんなバストロに持ち替えて頑張って練習してくれた。サウン… 続きを読む藝大トロンボーン科アンサンブル定期メモ

夢とは

ふと𝕏(旧Twitter)のメッセージを見返していて、ある都響定期会員のお方のメッセージが気になってやり取りを見返してみた。 都響を退団して大学に赴任した直後のメッセージのやり取りだったが、都響の中での私の立ち位置や仕事を、本当に的確に見てくださっていたのだなと言う、身に余るお言葉。そして退団して大学に行くことを応援してくださった内容。すごい慧眼だなと思った。 最後は「首席になれる人材を育ててください」との有り難い言葉で締めくくられていた。当時このメッセージに、大変勇気をいただき、新しい業務や職場に不安ななか、そう言う夢を持って頑張らねばと思った。 そして、今ふと気がつけばすでにそれは実現して… 続きを読む夢とは

私的珈琲初めて物語

私が珈琲に目覚めたのは、おそらく大学の2年か3年の頃。それまでは一般的なインスタントコーヒーに砂糖と粉末状のクリームを入れて、、、みたいな、特にコダワリの無い飲み方をしていたのだが、あることをきっかけにレギュラーコーヒーのブラックに病みつきになった。レギュラーコーヒーのことを当欄では珈琲と記したい。 このネタは、かつて旧ブログで書いたことがあると思うので、読んだことある人は重複する内容かもしれない。あしからず。 まだまだ私がフリーランスの仕事初心者の頃、栃木県足利市の市民会館で、今となっては贅沢な音楽鑑賞教室と思うのだが、オーケストラがピットに入って、オペラ「カルメン」を何公演か演奏した時だ。… 続きを読む私的珈琲初めて物語

私的2024年振り返り

昨年の予定表を見ながら、思いつくまま書いてみます。記憶力がこの歳で既にアレなので、記録を見返すと、さまざまな場面でいろいろな方に助けていただいたことを次々思い出します。関係者の皆様、その節は本当にありがとうございました。 それでは、大学のお仕事から。今年度は主任と教務委員を外れることが出来て、私の頭脳、能力以上の困難な業務は回って来ないものと油断していたところ、シラバスの大規模な改定の、実技系の科のリーダーっぽいことを任され、これには内容の難しさから正直絶望的な感情しか湧かなかった。しかし、管打楽科の先生方と助手の皆さん、それから、他科の先生方の総力を上げた作業で、なんとか乗り切ることが出来て… 続きを読む私的2024年振り返り

音にこだわる

過去の受験生のレッスンの中で、メッセージとして受験生とやりとりした、自分が書いた方の文章で、少しハッとしたものがあったので、載せます。(自分の方の文章なので、相手方の承諾は取っていません。あしからず。)相手はプロを目指す生徒さんです。 (音を良くしていくためには)自分の音の良いところに気づき、自分の音を好きになること、とても大事です。ネガティブな部分は聞かなくて良いです。もし自分の音が嫌いなら、それを売り物にしてプロになるのは不可能です。もちろん他人に対して「自分の音が大好きです」とことさら言う必要はありませんが、自分の気持ちの中で、自分の音を好きになって欲しいと思います。自分の音を好きになる… 続きを読む音にこだわる

録画審査の雑感

(𝕏(旧Twitter)に分割して投稿したものに加筆しました。) コロナ禍以降、録音や映像によるオーディションやコンクールの一次審査が増えてきた。一時CDによる録音の提出を求められる事があったが、今はビデオに収録して、YouTubeに限定公開をしてもらい、映像の編集をしていないことを確認しつつ、演奏を聴かせてもらう審査となり、応募する側の負担は本当に増えてしまった。 オーケストラのオーディションの一次審査で出された一例だけど、ソロ曲(David)1楽章とボレロなどのオーケストラスタディ数曲を、多少休みを入れても良いが、画面のフレームから出ることなく無編集で収録することと条件がつくこともあり、演… 続きを読む録画審査の雑感

お礼

湿っぽい話を書いた後に、何人かからブログ読みましたと、ありがたいお話をいただきました。こんな個人的な取り止めもないことを書いているところを気に留めて頂き本当にありがとうございます。 思えば、2000年に都響に移籍した時から始めた日記風コラムみたいな雑文の投稿ですが、初めの頃は、自己紹介と、トロンボーン界隈に何か役立つことを書けないかと思ってやっていましたが、今は既にネット上でお役立ちの記事は溢れていて、自分のやる事は、もうないなと思っていたところでした。 しかし、今の自分の心境や、心に響いたことなど、また過去の仕事などを見つけたら投稿してみたいなという気持ちになって来ました。 もしも読んで良か… 続きを読むお礼