大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編①

何やら回りくどい書き始めになりましたが、大学のトロンボーン教師としての考えとか、経験、知識、思いなど、その周辺域を含むあたりを徒然に書いていこうかと思います。なので、経験値を記して行くようなイメージなので、誰か特定の人を上げるようなことは避けつつ、また本人の許諾がある場合は載せたりと、柔軟にやるつもりです。

で、一本目は楽器の選び方。これについては旧ブログに苦情を言われたので、慎重にならざるを得ないところだけど、生徒の成長にとって大きな要素なので、時々取り上げたいなと思っています。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、現在の藝大トロンボーン科の学生の使っている楽器(メーカー)は、ほぼバラバラです。

私が学生だった頃(昭和後期)は、BACH、CONN、がメインで、HOLTON、YAMAHAがそれに続くと言う感じでしたかね。大雑把に言うとBACHの42BかCONNの88Hの2派に分かれる感じでした。

そんな中私は高校の時、もとN響の関根五郎先生に選定していただいたBACHの42Bを、大学卒業して新日フィルに入団するまで使ってきました。

それからマウスピースも、吹き心地やサウンド感を左右する重要なピースなわけですが、恩師の永濱幸雄先生にいただいたBACH 6 1/2 ALを高校生の頃から、プロになってからもずっと使って来ました。

現代においては、楽器のメーカーも世界中に広がり、マウスピースも多数のメーカーから信じられないほどの種類が発売されています。

私は管打コンクールの審査員を、ありがたいことに、これまでに何回かさせて頂いて、この十数年の日本の若きトロンボーン奏者のサウンドや楽器の変遷を直に見て来た実感として思うことがあります。それは楽器の進歩により国際化が急速に進んだなと言うことです。

楽器のメーカー、各楽器の仕様のバリエーション、そして、マウスピースのバリエーションの多彩さ。使うべき楽器の仕様の組み合わせは、ほぼ無限大という時代になって来て、選ぶ方からすると、選ぶ力と根性があれば、より自分の好みに合ったものを選ぶことが出来る環境になった。

しかし、逆に楽器の側から見てみると、一つの楽器の仕様あたりのフィットするプレーヤーのタイプは、昭和の頃に比べると恐ろしく狭くなっていることに気がつく。

昭和の頃は1つの仕様で幅広いと言うか、ほとんど吹き手を選ばないような汎用性があった。いわゆる現代まで脈々と続くスタンダードなタイプの楽器。

新しいタイプの楽器は、一つの仕様あたりのフィットするプレーヤーは恐ろしく少ないが、自分に合った仕様が見つかると、とても幸せになれるし、フィットしなければ、それは不幸ということになる。

とまあ、今はこんなことをつらつらと考えています。

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