大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編②

前回、楽器やマウスピースの飛躍的進歩によって、昔に比べて一つの仕様あたりのフィットする奏者のタイプの幅は狭くなって来たと書きました。

それで、近年は、アマチュアの方や、プロが楽器を選ぶということと、受験生や音大生の楽器選びということの違いを考えています。

昭和の頃の音大生のトロンボーン選びというものは、ザックリ言ってみれば3種類ほどの選択肢しかなかったので、どれかの楽器をしっかり使い込んで、なんとか自分の音と、目指すプロの音の違いを見つけて、足りない部分を埋めるべく音作りをして行く作業が必要だったし、試行錯誤があって、それは今でも大切な勉強だと思う。

現代の楽器選びは、ありとあらゆる情報が溢れている中で、恐ろしくバリエーションの広がった中、自分に合う楽器を選ばなければならない。これを、まだまだ自分の音が出来上がっていない受験生や、音大生が、間違いなく楽器を選択することは、かなり困難と言えると思う。

自分の求める音が明確にあるか、または好きなプレーヤーが使っているからという理由で同じ仕様の楽器を購入するのは、それほど難しくないと思われるし、それなりに価値があると思う。だから、プロやアマチュアの皆さんにとっては、価格を除けば、選択肢の広い良い時代になったのではないかと思う。

このところの円安をきっかけとした価格の値上がりは、もう驚くというより、諦めの感情になる。だからこそ、受験生や、音大生などの専門家を目指す人たちは、慎重に楽器を選ばないといけないと思う。

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