
昭和の頃の、先輩方の代からずっと続くアンサンブル定期。今回で無事33回目を数えました。今回の演奏会で気がついたことなどのメモを記したい。
ムソルグスキーの禿山の一夜をメインとして、小編成、中編成をバランスよく配したプログラムになった。
特にトリオとカルテットは、トップを吹く学生やグループごとのこだわりや個性が演奏に出ていて興味を惹いた。
アンコールを第3部として会場では案内しているが、進行の時間管理はもう少しシビアに。
今年度はバストロンボーン専攻の学部学生がいないのを、テナーの専攻生がバスを勉強できるチャンスと考えていたが、思った以上にみんなバストロに持ち替えて頑張って練習してくれた。サウンド面でも良い影響があったのではないか。
残響の少ない、条件の良くないホールではあったが、シビアなコラールをしっかり演奏できた。
禿山の一夜、毎回編曲でお世話になっている作曲家で当トロンボーン科出身の井元透馬氏の編曲が相変わらず素晴らしい。最高音はアルトトロンボーン2人で受け持ち、最低音はチューバで補強。無理なくワイドレンジ。打楽器とのコンビネーションも絶妙で、シンフォニックなサウンドが広がった。
私の指導と言っても2〜3回くらい聴いてアドバイスした程度。その中で自分で言って印象に残ったのは「コプラッシュみたいに吹かないで」(笑)。
井元氏からも、打ち上げで、レガートとフレージングを大切にして欲しい、そしてその先にある音楽への指向性をもっと持って欲しいと言うようなこと(記憶なので不正確です)といただいた。とても大切なこと。
今の学生は高校までの吹奏楽部経験者がほとんどなので、合奏の中に入ると、体の条件反射的な原理として、縦を合わせる、リズムや音程を合わせると言うところにみんなの意識が流れがち。一人一人の感じる音楽そのものを第一に追求して欲しいし、各々もっと自立的になり、少々はみ出した表現をして欲しいと思う。
年度当初、チームワークや、指揮伝達系統などコミュニケーション面を心配していたが、よく協力してうまく仕上げた。
今回も、トロンボーン科定期は、先生は関与せず、学生が自らの意思と創造性を発揮して企画開催するのが良いと確信した。
チラシ、チケット、プログラムデザインは、別科トロンボーン修了生で、管打楽科助手の西ノ園美弥さん。総カラー刷りでホント出色の出来。素晴らしい。
会場でいただいた声から、トロンボーン科の音が明るくなった、ストレスのある音が聴かれなくなった=全体としてストレスのない発音になって来たということ。などいただきました。ありがとうございました。そのほかにも何かありましたら当ブログコメント欄でも𝕏(旧Twitter)でもいただけたら幸いです。
遥か昔々(笑)第5回(池野成先生の古代的断章の回)に私が学生として出ていたのは間違い無くて、歳を取るのも仕方ない。こうして母校のトロンボーン科のサウンドの変遷を、最も近いところで聴かせてもらえるという、今の立場について感謝の気持ちしかない。藝大トロンボーン科の音が、これからも代々受け継がれ、発展していくよう願っている。