お礼

湿っぽい話を書いた後に、何人かからブログ読みましたと、ありがたいお話をいただきました。こんな個人的な取り止めもないことを書いているところを気に留めて頂き本当にありがとうございます。 思えば、2000年に都響に移籍した時から始めた日記風コラムみたいな雑文の投稿ですが、初めの頃は、自己紹介と、トロンボーン界隈に何か役立つことを書けないかと思ってやっていましたが、今は既にネット上でお役立ちの記事は溢れていて、自分のやる事は、もうないなと思っていたところでした。 しかし、今の自分の心境や、心に響いたことなど、また過去の仕事などを見つけたら投稿してみたいなという気持ちになって来ました。 もしも読んで良か… 続きを読むお礼

根無し草(一部加筆2024/10/13)

人生も進んで来ると、誰もが経験することとは分かっていたし、覚悟もしていたつもりだったが、実際に両親を亡くして感じたのは、結構大きな心の穴だった。 父は10年前に亡くなっていて、この夏母が旅立った。聞いた話によるとリリー・フランキーさんの小説の中に「母の住んでいるところが故郷である」と言うような文章があるらしいが、とても共感する話だと思う。 父が居なくなった佐賀の実家を、母が一人で守ってくれていた10年間。本当は、せめて年に2回くらいは帰省して、親孝行でもできたら良かったのだけど、私がオーケストラを退職して大学に転職してからの10年間と重なり、慣れない教員仕事に忙殺されながら、あまり帰省もできず… 続きを読む根無し草(一部加筆2024/10/13)

滋味哀愁なラーメンとヨーロッパの伝統あるオーケストラの関係性とは

一見何?ってネタですが、mixi日記にベテランリスナーのマイミクさんからいただいたコメントから思いついたネタです。 この夏は母が他界したことがあって、佐賀に行く機会が多かった。合間に食べに行くのは佐賀のラーメンと、久留米のラーメンがどうしても多くなってしまう。特に好きなご贔屓のお店もあるが、私が中学高校の頃通い詰めていた時から続く店もある。一番好きだった〇〇軒は残念ながら閉店してしまったが、そこで修行した方が店主となり各所で頑張っている。〇〇軒が閉店してしまった直後は、佐賀ラーメンの危機と思ったが、今はその当時の心配が嘘のように、百花繚乱状態へ。 佐賀ラーメンの特徴を、インターネット上で今仁さ… 続きを読む滋味哀愁なラーメンとヨーロッパの伝統あるオーケストラの関係性とは

藝祭

年に一度3日間にわたって開かれる東京藝術大学の学生達による大学祭。コロナ禍の間はオンラインになったり、なかなか大変だったが、昨年あたりからフル規格近くまで規模を戻すことができて、今年はフル規格での開催となった。今日が最終日で、私は今日は非番。 私達教員や大学職員は、あれこれ学生に任せてノータッチでお休みかと言うとそうではなくて、音楽学部では、各ホールの企画書を提出してもらって、実現可能かどうかや、全体の規模に合わせた審査や演奏会の量の調整、模擬店の審査や食品衛生の管理や指導などなど、開催前から開催中、とにかく事故やトラブル、火災など起きないように運営されるよう関わるのも仕事となっています。 自… 続きを読む藝祭

師匠の言葉

ご無沙汰してます(笑)忘れられた頃に何となく更新するスタイル。 自分が心から尊敬する先生方にレッスンしていただいていたのは、すでに40年以上前となり、記憶としては、もともと記憶力が良くない自分なので、放っておくと消えていく一方なわけです。 と言うことで、うっすらした記憶の中を辿りながら、自分が受け取った大事なものを次に渡せるのかと言うテーマを取り上げてみます。 大学で師事していた永濱幸雄先生の言葉。 「大学2年から3年にかけて、大きく変わることが出来たら卒業してから(プレーヤーとして)モノになりますね」 藝祭の最中、賑やかな中レッスンしていただいた時に、外から聞こえて来たmanto vivo(… 続きを読む師匠の言葉

広狭の視野と心理(仮題)

ずっと気になっていることを文字にしてみる試み。きちんと伝わるか何かと不安だが、とにかく文字にしてみよう。 昔々、オケの旅仕事で毎日ホテルに泊まっていた時にふと思いついたことが、その後の仕事や人生で、ことのほかいろんなことの思考の元になっていて、何か良い言葉で定義できないかと思っている。例えば「〇〇の法則」「〇〇効果」「〇〇バイアス」とか。多分心理学の分野で何か似たようなのがあるのではないかと想像。もしご存知の方、ヒントでも良いので、ご教示いただければありがたい。 例えば、旅先のホテルで朝起きて、ホテルの窓のカーテンを開け、シャワーを浴びて、外を見ながら体を拭いたり着替えたり、、、レースのカーテ… 続きを読む広狭の視野と心理(仮題)

ソルフェージュとトロンボーン

学生や受験生のレッスンをしていて気がついたことの記録です。あくまで記録が目的で、誰かを晒したり批判的なことを書くことが目的ではありません。 随分前の学生のレッスン時に、その学生が持っていた課題に対して深掘りしながら話をした時に、音符を見てどのようなプロセスで音を出すのか聞いてみたくなった話。 普通に考えると「音符を見て階名で音程を認識し、リズムや音価を判断して心の中で音程付きで歌い、あとは右手が適切なポジションに移動して、歌ったような音を出す」みたいなものかと思うのだが、その学生は「音符を見たらまず音そのものが頭に浮かび、それを聴音して音名を認識してから音を出す」ような話だったと思う。少し複雑… 続きを読むソルフェージュとトロンボーン

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編⑤

楽器とサウンドを考える5回め。楽器編は一応ここいらで、一区切りにしようと思います。 楽器は作業着や体操着、洋服のようなものだと書きましたが、今回は自己のサウンドが確立される前の段階にいる受験生の場合です。 現代の楽器は、メーカーの皆さんの努力によって、本当に良い鳴りで、音程も良く、倍音のバラつきも少ない素晴らしいものが増えました。 しかし、そのトレードオフとして、フィットするプレーヤーのタイプは狭くなってしまいました。逆にフィットすれば、きっと演奏や音楽性の上達のために素晴らしい体験ができると思います。 受験生や、まだまだサウンドが出来上がる前にある学生の場合、やはりビッグウェーブを潜り抜けて… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編⑤

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編④

受験生から音大生、プロになるまでのあたりのサウンドと楽器について考える4回め。 大学で誰か1人が話題の新しい楽器を買ったりすると、みんな、なんだかソワソワして、自分も買い替えたくなる気持ちは、よくわかりますよ。自分もそうだったから。藝大では過去に、何度か楽器買い替えのビッグウェーブ(笑)が到来していて、コーンだったり、クルトワだったり、エドワーズの楽器が一気に増えた時期がありました。 今はそのビッグウェーブを越えて、百花繚乱の時代か。その代わりに、学生はちゃんと相談しにきてくれるので、すごく時間をかけて考えることになります。 楽器というものは、僕のイメージでは洋服や作業着、体操着のようなもので… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編④

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編③

主に受験生から大学専攻生あたりを念頭に書いている3回目。楽器選びやサウンドの好みなど、様々な考え方があろうかと思うので、ここに書くのはあくまで私個人の見解と言うことでお願いします。 私が高校生の頃に、福岡の三好先生のレッスンで、日常的に言われていたことで、優れたプロの奏者になるためには、優れたプロの音にならなければならない。その人が持つ音そのものが最も重要である(仰り方はもう少し優しくて違ったと思う)と。これは今も私の考え方の中心にあります。 同じ楽器、同じマウスピースを使ったとしても、奏者が代われば明らかに音は変わる。奏者が同じなら、楽器やマウスピースを変えても、結局はその奏者の持っている音… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編③