師匠の言葉

ご無沙汰してます(笑)忘れられた頃に何となく更新するスタイル。 自分が心から尊敬する先生方にレッスンしていただいていたのは、すでに40年以上前となり、記憶としては、もともと記憶力が良くない自分なので、放っておくと消えていく一方なわけです。 と言うことで、うっすらした記憶の中を辿りながら、自分が受け取った大事なものを次に渡せるのかと言うテーマを取り上げてみます。 大学で師事していた永濱幸雄先生の言葉。 「大学2年から3年にかけて、大きく変わることが出来たら卒業してから(プレーヤーとして)モノになりますね」 藝祭の最中、賑やかな中レッスンしていただいた時に、外から聞こえて来たmanto vivo(… 続きを読む師匠の言葉

広狭の視野と心理(仮題)

ずっと気になっていることを文字にしてみる試み。きちんと伝わるか何かと不安だが、とにかく文字にしてみよう。 昔々、オケの旅仕事で毎日ホテルに泊まっていた時にふと思いついたことが、その後の仕事や人生で、ことのほかいろんなことの思考の元になっていて、何か良い言葉で定義できないかと思っている。例えば「〇〇の法則」「〇〇効果」「〇〇バイアス」とか。多分心理学の分野で何か似たようなのがあるのではないかと想像。もしご存知の方、ヒントでも良いので、ご教示いただければありがたい。 例えば、旅先のホテルで朝起きて、ホテルの窓のカーテンを開け、シャワーを浴びて、外を見ながら体を拭いたり着替えたり、、、レースのカーテ… 続きを読む広狭の視野と心理(仮題)

ソルフェージュとトロンボーン

学生や受験生のレッスンをしていて気がついたことの記録です。あくまで記録が目的で、誰かを晒したり批判的なことを書くことが目的ではありません。 随分前の学生のレッスン時に、その学生が持っていた課題に対して深掘りしながら話をした時に、音符を見てどのようなプロセスで音を出すのか聞いてみたくなった話。 普通に考えると「音符を見て階名で音程を認識し、リズムや音価を判断して心の中で音程付きで歌い、あとは右手が適切なポジションに移動して、歌ったような音を出す」みたいなものかと思うのだが、その学生は「音符を見たらまず音そのものが頭に浮かび、それを聴音して音名を認識してから音を出す」ような話だったと思う。少し複雑… 続きを読むソルフェージュとトロンボーン

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編⑤

楽器とサウンドを考える5回め。楽器編は一応ここいらで、一区切りにしようと思います。 楽器は作業着や体操着、洋服のようなものだと書きましたが、今回は自己のサウンドが確立される前の段階にいる受験生の場合です。 現代の楽器は、メーカーの皆さんの努力によって、本当に良い鳴りで、音程も良く、倍音のバラつきも少ない素晴らしいものが増えました。 しかし、そのトレードオフとして、フィットするプレーヤーのタイプは狭くなってしまいました。逆にフィットすれば、きっと演奏や音楽性の上達のために素晴らしい体験ができると思います。 受験生や、まだまだサウンドが出来上がる前にある学生の場合、やはりビッグウェーブを潜り抜けて… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編⑤

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編④

受験生から音大生、プロになるまでのあたりのサウンドと楽器について考える4回め。 大学で誰か1人が話題の新しい楽器を買ったりすると、みんな、なんだかソワソワして、自分も買い替えたくなる気持ちは、よくわかりますよ。自分もそうだったから。藝大では過去に、何度か楽器買い替えのビッグウェーブ(笑)が到来していて、コーンだったり、クルトワだったり、エドワーズの楽器が一気に増えた時期がありました。 今はそのビッグウェーブを越えて、百花繚乱の時代か。その代わりに、学生はちゃんと相談しにきてくれるので、すごく時間をかけて考えることになります。 楽器というものは、僕のイメージでは洋服や作業着、体操着のようなもので… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編④

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編③

主に受験生から大学専攻生あたりを念頭に書いている3回目。楽器選びやサウンドの好みなど、様々な考え方があろうかと思うので、ここに書くのはあくまで私個人の見解と言うことでお願いします。 私が高校生の頃に、福岡の三好先生のレッスンで、日常的に言われていたことで、優れたプロの奏者になるためには、優れたプロの音にならなければならない。その人が持つ音そのものが最も重要である(仰り方はもう少し優しくて違ったと思う)と。これは今も私の考え方の中心にあります。 同じ楽器、同じマウスピースを使ったとしても、奏者が代われば明らかに音は変わる。奏者が同じなら、楽器やマウスピースを変えても、結局はその奏者の持っている音… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編③

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編②

前回、楽器やマウスピースの飛躍的進歩によって、昔に比べて一つの仕様あたりのフィットする奏者のタイプの幅は狭くなって来たと書きました。 それで、近年は、アマチュアの方や、プロが楽器を選ぶということと、受験生や音大生の楽器選びということの違いを考えています。 昭和の頃の音大生のトロンボーン選びというものは、ザックリ言ってみれば3種類ほどの選択肢しかなかったので、どれかの楽器をしっかり使い込んで、なんとか自分の音と、目指すプロの音の違いを見つけて、足りない部分を埋めるべく音作りをして行く作業が必要だったし、試行錯誤があって、それは今でも大切な勉強だと思う。 現代の楽器選びは、ありとあらゆる情報が溢れ… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編②

大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編①

何やら回りくどい書き始めになりましたが、大学のトロンボーン教師としての考えとか、経験、知識、思いなど、その周辺域を含むあたりを徒然に書いていこうかと思います。なので、経験値を記して行くようなイメージなので、誰か特定の人を上げるようなことは避けつつ、また本人の許諾がある場合は載せたりと、柔軟にやるつもりです。 で、一本目は楽器の選び方。これについては旧ブログに苦情を言われたので、慎重にならざるを得ないところだけど、生徒の成長にとって大きな要素なので、時々取り上げたいなと思っています。 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、現在の藝大トロンボーン科の学生の使っている楽器(メーカー)は、ほぼバラバ… 続きを読む大学教師がトロンボーンの学生を教えることの周辺域 楽器編①