年末に寄せて①(追加済)

今年は当ブログを始めてみたものの、なかなか更新できなくて、ご来訪いただいた皆さんには申し訳なく思っています。決して放置するつもりはありません。なかなか自分自身のことを考え振り返る時間がないと言う言い訳は置いといて、せっかくの年末なので、思いつくことを記してみたいと思います。


大学の教員になって10年目の今年は、自分の周りの環境がいろいろ変わりました。大学の方では教授に昇任させていただいたのと同時に、管打楽科の主任という大きな責任を負う立場になりました。都響を辞めて大学の先生になる時に、小畑先生から助言として教えていただいたことが、未だに実現できなくて足掻いているような状況で、自分のマネジメント能力の無さには、ホトホト落胆することが多いですが、助手さん達をはじめ、周りの先生方の助けあって成り立つ仕事だと思います。
教えていただいたことは、大学の教員の仕事は大きく3つの柱があって、それぞれ同じ割合くらいでバランスよくやるのが理想ですと。それは①教育、②大学運営、③研究、の3つ。


①の教育活動は、ご存知の通り日々のレッスンがそれに当たります。その他にも長崎県の五島市や長野県の安曇野市、福島県の伊達市など(私が関わったところ)との交流事業や、早期教育プロジェクトなともこれに当たります。
②の大学運営関係は、定例的に入る会議などもこれに当たりますが、その他にも各種ワーキンググループなどと言ったものや、その他学外での会議などでしょうか。入試関係や、学内の試験関係、不定期に入ってくる案件などが多くて重なってしまうと、積み残した仕事が溢れた状態になり、周りには迷惑をかけてしまいます。実技系の自分としてはメールを中心としたデスクワークにかけられる日々の時間がそれほど多く無い上に、メールの作文が遅く、いつも周りの先生方の仕事ぶりを見て、反省です。


③の研究活動は、自分が本来大学でやりたいこと、研究したいことになります。日々の楽器の練習や、ソロ、室内楽、吹奏楽、オーケストラでの演奏活動、勉強のための研究会や講習会への参加、聴講などと言ったものがこれに当たります。
理想は三等分なのですが、現実は4:5:1位のあたりか、、、どうしても自分のことが後回しになって疎かになってしまいます。


そんな状況だったところにいただいた、古巣新日フィルからの契約首席のオファーでした。やはり自分で演奏会を企画するというのは、私一人にはなかなか出来ないところですが、オーケストラに定期的に出演出来るのは、自分の演奏のための時間をなんとか作ることになり、モチベーション的にも上がるし、やはりプロのオーケストラで演奏することによって、自分の音に対する感覚やアンサンブルの感覚も自然と良くなります。こうした自分の学びや経験は、当然様々な形で学生達に還元します。ここのところは、私の仕事としては、とても重要なことだと思っています。


一つ忘れてはいけないトピックを備忘的に書いておきたいのですが、今年新しい楽器と新しいマウスピースに全面的に移行しました。なんだかんだで、メインの楽器はV.BACHのセイヤーバルブモデルを、プロとして活動を始めた頃から35年間メンテナンスしつつ使い続けて来ましたし、マウスピースはしばしば流浪の旅に出てしまいましたが、近年はwillie’sさんのaquarius 5というので、ずっと落ち着いていました。


アメリカの神田めぐみさんが使われているトロンボーンで、すごく気になっていたGreenhoeと言う楽器を試奏する機会があり、響きの豊かさ、華やかさと反応の良さがとても気に入ってしまい、しかもBachタイプの仕様を選べると言うことで、入荷を待たせてもらいました。


試奏した結果は、即座に金策に走りましたね(笑)。新日フィルの本番での試運転でしたが、周りの評価も上々で、久しぶりに味わうワクワク感とか高揚感というのを体感しています。今年はボレロを2回吹く機会があって、いずれも自分の想定以上の結果が得られ、楽器との信頼関係も出来ました。


マウスピースはwillie’sの中込さんが、Greenhoeの楽器に合うように最新の技術で作って下さったもので、今の自分にとってベストフィットなのは間違いありません。


最後に触れるのは、今年は自分にとって大切な方の訃報が続いたものの、未だ実感が湧かないと言うことです。都響時代に大変お世話になった作曲家のすぎやまこういち先生、それから、新日時代から「まじめ〜ず」として仲の良い3人としてお付き合いいただいたRさん。オーケストラのお仕事を通じただけでなく、プライベートでも掛け替えの無いお付き合いだったと思ってます。


すぎやま先生については、もはや説明の必要は全くありませんし、東京オリンピックのオープニングや、今晩のNHK紅白歌合戦で都響がすぎやま先生の作品を演奏することが話題になっています。


私が都響に入団したころからスタートしたすぎやま先生とのドラゴンクエストシリーズのレコーディングとコンサートも、初めの頃は私はゲームをやらないこともあって、それほどドラクエの音楽に没入することもありませんでした。すぎやま先生も、どことなくオケのことを信頼されていないのかな?と感じられる発言があったりしていたのですが、本当にすぐ、あっという間に信頼関係は揺るぎないものになって行きました。


オケの楽員一人一人を音楽家として、とても大切にしてくださるすぎやま先生と、私も親しく話をさせていただき、当時私が更新していたブログを良く見てくださっていて「古賀トロ部屋見てるよー!」と言葉をいただいたりしました。


今では多くのオーケストラや吹奏楽団で演奏されるドラゴンクエストの音楽ですが、本当に大事に大事に育まれたものなので、私は今でも特別に思い入れがあります。ただし相変わらずゲームは出来ないので、私は尊敬するすぎやま先生と先生の音楽、そしてドラクエ音楽の世界観が好きなのだと思います。都響を離れ、先生とお会いしなくなって10年以上になりましたが、まさに突然の訃報でした。心からのご冥福をお祈りいたします。


音楽を生み出した作曲家の指揮で演奏することの意義深さは、一演奏家として他に例えようが無いほど大切なものです。作曲家と同じ時代に生きていて良かったと、つくづく思います。(続く)

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