1983年から1984年にかけて2年間、すなわち私の大学2年から3年にかけて、旧東ドイツのシュターツカペレ・ドレスデンを50年間にわたり首席奏者を務められたのち、72歳と言うお歳でAlois Bambula先生が芸大の招聘教授として着任された。旧東ドイツと言う共産圏の国から、しかも2年間も日本に居住されて教えて下さると言う、今の大学の内情を知る身としてはなんとも贅沢で羨ましい時代。
一体どなたが、バンブーラ先生と芸大を結びつけて招聘することにご尽力くださったのか、今の私にはその一部しかわからないが、私の人生にとっては大きな出来事だった。どなたかが、困難なことを信念を持って実現してくださったのは間違いが無く、今となってはもう本当に感謝の気持ちしかない。
当時、Eメールもインターネットも当然存在しないし、東ドイツとは国際郵便や国際電話もなかなかまともに通じない時代に、2年間の招聘教授の話をまとめるのは、本当に気が遠くなるプロセスと時間がかかったのだろうと思う。
今はそんな壮大なスケールで先生を招聘するのは困難この上ないのだが、2年に1度、2週間Olaf Ottさんに来てもらえるのは、本当にありがたいし、コロナ禍が終わればぜひまた実現したい。頑張ろう。